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2014年03月14日 (金) 日々の出来事

りんぷうの会 能楽写真展

 能楽写真家の神田佳明さんが主宰する「りんぷうの会」の展覧会が、日比谷の図書文化館で開かれているということで、仕事の合間をぬって行ってきました。

 

 サラリーマンが行き交う有楽町駅を降りて、日比谷公園のゆったりした通りを抜け、展覧会の会場に入ると、大きな部屋の壁一面に能楽の写真が展示されています。『小鍛冶』『玉葛』『山姥』『野宮』など、どれも力作揃い。シテによる舞を、普段は目にすることができないようなクローズアップで見ることができます。どの写真も、撮影者独自の視点で、これぞ!という瞬間を切り取ったものに、渾身のタイトルがつけられています。

 

 霊孤や玉葛を演じようとするシテの息遣いが、写真によって一瞬を切り取られることで、より迫ってくるように思います。躍動感あふれる舞の様子や、扇を返す微妙な動きなど、自分一人で見ていたら見逃してしまうような瞬間を、絶好の角度から見せてくれます。私自身、まだまだ能を見始めたばかりで、何をどう見ればいいのか…思ってしまうことも正直言って多々あるのですが、撮影された方の視点も借りることで、少しだけ能に近づけるように感じました。聞こえるはずのない謡までも、まるで腹の底から響いてくるようです。

 

 ブログ写真02

神田佳明「嵯峨野に秋の風、幣(へい)揺れる(野宮)」

 

 写真には、面をつけて霊孤や御息所を演じようとするシテの、舞台上での心の動きとともに、それを見る撮影者の気持ちも写りこんでいるようです。撮影されている方も、写真を撮ることで、シテとともに舞を舞っているようでした。

 

(第9回りんぷうの会 能楽写真展 常(とわ)に輝く幽玄の美

 併催 寺田良子アート展/古谷久夫・綾子 能・狂言面二人展 

 2013311日(火)~16日(日)@日比谷図書文化館1階特別展示室)

 

(こまこ)

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