スタッフブログ

2019年12月22日 (日) 日常

年の瀬に日本人のお掃除文化について考えてみました。

12月17日(火)に「ミニ箒作り体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。また講師をお引き受けくださいました中津箒 株式会社まちづくり山上の講師の皆さまもありがとうございました。

 

ミニ箒作り体験の様子

 

中津箒は神奈川県の中津村(現、愛川町)で明治時代に始まり、昭和20年代まで中津村の一大産業でしたが、昭和30年代以降には電気掃除機の普及による掃除スタイルの変化や市場の縮小などにより産業として一時衰退。その後、自家用中心となり技術は受け継がれてきたそうです。現在、株式会社まちづくり山上では、中津箒として箒文化の再興に取り組んでいます。

 

箒はよく目にする長箒以外にも形式が様々で、現代のライフスタイルにあわせて多様化しているようです。「ミニ箒作り体験と横浜能楽堂見学」では、パソコンのキーボードやリモコンのボタンまわりの掃除ができるミニ箒作りを体験していだたきました。ここで、私自身が日本人のお掃除文化についてちょっと考えてみたアレコレをご紹介します。

 

講師をお願いしました中津箒 株式会社まちづくり山上さんとの出会いは、愛川町にある箒博物館「市民蔵常右衛門」でミニ箒作り体験をしたことがきっかけです。箒博物館には、世界の箒が展示してあり、中津箒の展示販売もありました。展示販売用の箒は、手づくりならではの美しさがあり、同じものが一つもない個性が魅力的でした。試しに長箒で床を掃いてみましたところ、そのしなやかさにも驚きました。これはもう即買い!でした。

 

長箒とミニ箒

 

実際に自宅でお掃除をしてみましたところ、長くてしなやかな穂先のおかげで、フローリングワイパーやフローリングモップでは取りきれない細かなほこりが取れ、またクリーナーでは入り込めない高さの低い・奥の深い場所のほこりを掻きだせました。我が家の床は、最近のマンションによくある、畳やカーペットはなくフローリングのみなのですが、箒はまさにマンションにぴったりのお掃除道具だと思いました。また、箒で掃くときの手に感じるしなやかな感触や静かな音というものもとても心地よく感じました。箒博物館「市民蔵常右衛門」で出会うまで、フローリングのお掃除道具としてノーマークの箒でしたので、私にとってはお掃除革命でした。

 

箒で掃くという行為は汚れやほこりを取るということではありますが、どうやらそれだけではないようです。これは、講師の柳川さんがおっしゃっていたのですが、ささっと掃除をすると気持ちよく1日が始まる気分になるように、箒は日本人の気持ちによく似合っている、とのことです。また、曲がっていたり乱れていたらぬるま湯で洗って陰干しすればもとの姿に戻るように、箒は人の日々の姿の現れでもある、ということです。

 

箒をまたぐとバチが当たる、玄関に箒を吊るすと縁起が良い、など、昔から箒には神様が宿っていると考えられていたようです。掃除の機能性だけではない日本人の精神性のようなものが箒にはあるようですね。また、手に感じるしなやかな感触や心地よい音は日本人の感性にフィットしているのかもと感じました。もしかしたら、最新のサイクロンクリーナーやロボットクリーナーにも集塵効率だけではない、そんな日本人好みの感性スペックが搭載される日がくるかも・・・なんて思いました。

 

ミニ箒作り体験の当日は、様々な形状の箒の展示と希望者への販売も行いました。洋服用、猫の毛取り用、コーヒーミル用、その他いろいろあります。講師の柳川さんがお掃除したいものや場所にあわせてぴったりな箒の説明をしてくださいました。「心の汚れを落とすにはどれがいいでしょうか?」なんて質問もありました!

 

様々な箒の展示

 

私は、お掃除革命を引き起こした長箒に加え、柄の無い短い箒も購入してしまいました。こちらは穂先が短いため長箒とはまた異なる場所の掃除用です。柳川さんに「洗面所のマットはどうでしょう?」と聞いたところ「大丈夫ですよ~。」ということでしたので。早速自宅のマットのお掃除をしてみたところ、髪の毛や小さなほこりが掻き出せました。なるほど、「フローリングに箒」なだけではなく、「マットに箒」であったとは!収納はもちろん縁起がよくなりますように玄関に吊るしています。

 

短い箒とミニ箒

 

年の瀬は大掃除をしなければいけない呪縛のある気の重い季節ですね。我が家ではここ数年、結局大掃除はせずに小掃除でお茶をにごしています。今年は箒の力を借りてささっと終わらせるつもりでいます・・。

 

はぜの木

2019年11月09日 (土) 能楽関連

芸術監督が案内する横浜能楽堂見学と能楽のイロハを開催しました。

11月3日(日・祝)文化の日に「芸術監督が案内する横浜能楽堂見学と能楽のイロハ」を開催しました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 

まずは見所で芸術監督より、能楽が辿ってきた長~い歴史や能舞台の特徴についてお話しました。

 

 

休憩をはさんで2グループに分かれて、舞台裏や2階の展示廊を見学。舞台裏では鏡の間での揚幕体験や切戸口から鏡板を間近に見ていただきました。

 

 

展示廊では再び芸術監督より面と装束を中心にお話しました。女の面の中でも若い女性の小面の話や、皇室で代々育てられている蚕の品種「小石丸」と同じ品種の蚕の糸から織られた絹の話にとても興味をもっていただきました。

 

 

たくさんの皆さまにアンケートのご協力をいただきありがとうございました。今後の事業の参考にさせていだきます。自由意見を少し紹介します。

 

[70代男性]

・能の歴史がわかった(能の成り立ちなど)能の使われるいろいろな道具、衣装の芸術性

がわかった

[50代男性]

・楽屋や鏡の部屋を見たかったので満足。

・足利氏と能の関係性を初めて聞けて良かったです。ありがとうございました。

・とても良い企画だと思います。たくさんの発見がありました。

[50代女性]

・能に関する知識が増えたような気がします。お話興味深く聴くことができました。

・猿楽、田楽など何も分からず覚えていた言葉が分かり、むずかしいことを考えずに能を

楽しもうと思えた。

[40代男性]

・能楽の歴史や成り立ち、その背景など理解しやすい。話し口で大変好感が持てた。

[40代女性]

・ユーモアを折りこみながら興味がわくような具体例のある解説であった。間近で舞台や

装束の解説を聞きながら見学できたこと。皆スタッフの皆さん、能がお好きなんだなぁ

と感じられたこと。

[30代女性]

・バックヤードツアー楽しかった。横浜能楽堂の歴史興味深かったです。

 

案内するシリーズとしまして、年明けには「能楽師が案内する横浜能楽堂見学と能楽ワークショップ」を開催します。シテ方、狂言方、それぞれの視点でご案内します。

白足袋で本舞台も歩ける特別な体験付!只今絶賛受付中、この機会にぜひご参加くださいませ~。

https://yokohama-nohgakudou.org/news/?p=760

 

はぜの木

2019年09月07日 (土) 日々の出来事

横浜能楽堂伝統文化一日体験オープンデーを開催しました。

8月16日(金)に伝統文化一日体験オープンデーを開催。鑑賞・体験・ものづくり・伝承あそびなど7つのプログラムを実施、横浜能楽堂として初めての試みでした。来館者人数約590名、プログラム参加延べ人数約910名と、とても多くの方にご来館・ご参加いただきありがとうございました。当日の様子などをご紹介します。

 

仕舞鑑賞

講師は山井綱雄先生(シテ方金春流)にお願いしました。2回で約300名程度のお客様に鑑賞していただきました。お話がとてもわかりやすく仕舞も大変好評でした。アンケートでは、一番良かったプログラムのNo.1でした!

 

箏曲体験

講師は橘学苑高等学校筝曲部の皆さまにお願いしました。夏休み返上で事前練習~当日運営まで部員さんが主体となり、がんばってくださいました。1回目と2回目は第二舞台からお客さまがあふれるほどの大盛況ぶりでした。

筝曲部の部員さんの感想を少し紹介しますね。

・普段演奏するときは、他の部や他の団体と一緒に参加することが多いので、お客様はいろいろな演奏を聴くことになるけれど、今回は私たちの演奏を聴いたりお箏を触れたりするためだけに会場にいらっしゃったお客様で、その分緊張したし、嬉しさもあった。

・もうきっと横浜能楽堂で演奏できることはないと思うので、貴重な体験になった。

 

小鼓体験

講師は岡本はる奈先生(小鼓方観世流)にお願いしました。日常生活では邦楽器に触れる機会がなかなか無いようで、想定をはるかに超える参加のご希望があり、大変な人気でした。研修室という小さなお部屋で実施しましたので、急遽整理券を配布し、見学スペースも一杯になりお断りすることもありました。体験できなかった皆さまには、この場を借りてお詫びさせていただきます。岡本先生は横浜能楽堂にて毎月お稽古のお教室も開催していらっしゃいます。

 

舞台とバックヤードツアー

1回目87名、2回目111名と多くの方にご参加いただきました。揚幕体験や普段見ることのない切戸口からの舞台の景色をお楽しみいただけましたでしょうか。整理券配布の際にお待たせしてしまったお客さまには申し訳ありませんでした。

 

けん玉・ベーゴマ・わらべうたと遊ぼう!

講師は神奈川県青少年センター指導者育成課と田村さん、下田さん、清水さん、その他ボランティアの皆さんにお願いしました。2階のラウンジという少し奥まったスペースでの実施ではありましたが、いつもお客さまのにぎわいがありました。いろいろな世代のお客さまが一緒に楽しむことのできるよい時間ではなかったかと思います。

 

和紙で作る風船ランプシェード

講師は神奈川県立青少年センター科学部にお願いしました。お子さまたちが夢中になって和紙を貼っている姿が印象的でした。お家で使っていただけてますでしょうか。ランプを点けた時に横浜能楽堂を思い出していただけたら幸いです。

 

一閑張りで作る渋うちわ

講師は一閑張り利庵の鏡原様にお願いしました。事前予約ではすぐに満席となり、欠席の連絡でお席が空くとまたすぐに満席になるという人気ぶりでした。幅広い世代の方にご参加いただたきました。思い思いの作品ができあがりとても満足していただけたようです。鏡原様は横浜能楽堂研修室にて毎月一閑張りのお教室を開催されています。

 

アンケートにご協力をいただきありがとうございました。プログラムを楽しんでいただけた方がいらっしゃる一方で、整理券配布や館内案内など、今回初めての開催のため運営面での不手際があり申し訳ございませんでした。どうかご容赦くださいませ。次回開催時の課題とさせていただきます。

主な自由意見をご紹介します。

[50代男性]

・山井先生のお話がとても上手で聞きやすく、仕舞もすばらしかったです。またバックヤードの見学も初めてで、とても興味深く見学することが出来ました。

[40代男性]

・運よく、箏・小鼓・ツアーの3つすべて体験出来ました。楽器にふれられる方がもう少し増えるといいなと思いました。

[80代女性]

・とてもいいこと。子供達への文化の伝承、知能ばかり優先されてる今、あそびながら頭からだ共に育つ、のびていくこと、すばらしい。これからもぜひ続けて頂きたい!!!

[50代女性]

・小鼓体験;整理券配布時間の記載をしてほしかった(体験希望で訪れたのに!)

・箏曲体験;高校生が率先してワークショップを行っているのが良い!演奏も素敵でした!

・滅多にできない経験で、とても面白かった。触れる機会をつくっていただいてありがとうございます。説明もとても分かりやすかったです。(小鼓体験)

 

講師をお引きうけくださいました、山井先生、橘学苑箏曲部の皆さま、岡本先生、青少年センター指導者育成課他の皆さま、青少年センター科学部の皆さま、鏡原様、その他関係者の皆さま、ご協力いただいきありがとうございました。そしてご来館いただきました皆さま、本当にありがとうございました。ぜひまた横浜能楽堂でお会いしましょう!

 

はぜの木

2019年09月07日 (土) 日々の出来事

浴衣ワークショップ&狂言鑑賞会を開催しました。

8月11日(日)午前中に浴衣ワークショップ、午後から狂言鑑賞会を開催しました。参加者は10名。ハクビ株式会社着付師が10名に4名もついてくださり、とってもプライベート感満載なワークショップになりました。当日の様子をご紹介します。

 

まずは3つのグループに分かれて持ち物を確認し、早速スタート。下着を着けてタオルで補正をして浴衣を着て帯を結ぶ、というプロセスです。浴衣を着て帯を結ぶプロセス部分は何度も繰り返して練習しました。

 

今回、ハクビさんと事前打合せをする中で、半幅の帯結びを3種類から選べるようにお願いしました。下の写真の左から「男結び(貝の口)」、「蝶結び」、「リボン返し」です。オーソドックスな結び方だけでなく変わり結びを入れていただくようにお願いしましたら、「リボン返し」ということになりました。

 

 

参加者の皆さまはご自分の浴衣や帯に合う帯結びを選んで何度もチャレンジしていました。「手結びはできあがった付け帯とはふっくらした感じが違う」、「同じリボン返しの結び方でも帯の色柄の出し方を変えると全く違って見える」、などの感想がありました。

私自身も、リボン返しは半幅帯の裏の出し方を変えることにより同じ帯を何通りにも変えられる結び方だと感じました。

 

参加者の帯結びを接写しました。一つとして同じ表情が無く、無限の多様性ですね~。

「男結び(貝の口」)

「蝶結び」

「リボン返し」

「リボン返し」

 

 

そして、お昼を食べて午後からは狂言鑑賞会として、「横浜狂言堂」公演へ。和泉流で「清水」、「悪太郎」を鑑賞しました。初めて鑑賞された方からは、「お話があったのでとてもわかりやすく内容がはいってきた」、という感想がありました。

 

最期に皆さまで集合写真をパチリ!

 

 

参加者の皆さま、ハクビの着付師の皆さま、ありがとうございました。今年の夏の素敵な浴衣の思い出にしていただけましたらとても幸いです。

 

はぜの木

2019年08月25日 (日) 日常

流れ去るものはやがて懐かしき

横浜能楽堂では2019年3月から8月18日まで、ギリシャからのインターン、フィリポス・モスハトスさんを受け入れ、主催公演開催時のパンフレット配布やブログ記事掲載等のお手伝いをしていただきました。これまで5回にわたり、フィリポスさんが来日以降に日本で観た演劇や、さまざまな文化について感じたこと、考えたことなどをこのブログで紹介してもらいました。今回はその6回目、フィリポスさんからの最後のメッセージです。
なお、文章については本人が書いたものをそのまま掲載しています。

 

 

この最後の文章は、前みたいにの文章ではありません。この文章は日本語で礼を言う文章です。心得から手紙みたいようです。まず、横浜能楽堂の館長と同僚に礼をいたいです、この素晴らしい機会を渡してくれたから。この人たちのためで、そんなに素晴らしいな能楽堂に努めていました、ギリシャ人なのに。大学卒業したきり別のの大陸すぐ飛んでたし,そして前手帳から勉強しただけ言語で話喋り始めた。さらに、他ののところへ働きましたけど、日本の「仕事文化」を始めて体験しました。

能楽堂に日常生活は面白かったでした。確かに第1な大変問題は言語のバリアーでした。今もこれを考えますけど、もしこれはなかったらもっともっと役に立てるはずだと思います。しかしこの言語バリアーは止めさせませんでした、だから能楽堂の整理のこともそして一番大切、このスタフ・ブログの演劇記事のおかげで私の学位よく使いました。仕事以外、能・狂言・琉球の踊りは演劇学者として見ることはうれしかった。日本の古典芸能は世界中に独特ので、体験してくれて良かったです。

能楽堂以外に東京の小学校と高校一つに訪ねました。ここで子供と青年もギリシャの文化の講座と会話をやりました、さらに日本の学校生活少し体験しました。学生は(小と高校生も)意外にギリシャに凄い興味があったので、少しびっくりしました。ねえ、知ってる?今年はギリシャ―日本の120年貿易周年です。

 

 

講座中

 

 

仕事と用事以外、日本にいるの生活性は確かに面白い。食事のお店、居酒屋、旅行、大好きなアニメ文化そして及びそれぞれのお店、これを子供の時から体験するのは夢みたいでした。アニメの店以外、素晴らしいな合ってる人々、友達、恋人、日本に合ってくれたのでよかった。

この手紙はさようならの手紙でした。綺麗な記憶、素晴らしい人々の出会い、そして何より横浜能楽堂の渡せた成長の機会。人間として、演劇学者としてそして経営学生として、心得からまことにありがとうございます。

Ευχαριστώ πολύ και αντίο.
-Φίλιππος Μοσχάτος

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