スタッフブログ
2017年03月30日 (木) 能楽関連

平成27年からスタートした「能の五番 朝薫の五番」も先月に第3回が終了。公演をご覧になった方は、玉城朝薫が作った組踊とそれに対応する能を見比べて、類似点や独自性に気付かれたのではないかと思います。

 

「朝薫の五番」は、組踊の原点となる作品として、今日でも度々上演されていますが、朝薫以降も組踊は作られており、現在でも演じられています。その中には、やはり能との関わりが指摘されている作品が幾つか存在しており、組踊「花売の縁」と能「芦刈」、組踊「雪払い」と能「竹雪」、組踊「万歳敵討」と能「放下僧」等が挙げられます。

 

「万歳敵討」の作者、田里朝直は、朝薫の次の世代に活躍した人物で、他に「大城崩」「義臣物語」「北山崩」を作ったほか、「未生の縁」「月の豊多」なども朝直作と言われています。朝直も朝薫同様、本土の芸能の影響を受けたようで、「万歳敵討」以外作品も、「未生の縁」は、能「弱法師」の典拠にもなっている俊徳丸伝説が下敷きになっていますし、「大城崩」は能の番外曲「正儀世守」と関連があると考えられます。

 

その組踊「大城崩」と能「正儀世守」ですが、両者とも敵討ちの後日談を描いた作品で、処刑の危機に陥った兄弟の前に母親が現れ、助けを乞う。母の願いにより兄弟のうち、一人を殺すことになったが、母は継子であり嫡子である兄を生かし、実子である弟を殺すように頼む。最後は、兄弟共に赦され、めでたく終わる。という話の大筋は共通しています。

しかし、大きく異なる点として、「正儀世守」に登場する兄弟は仇討を果たした側であるのに対し、「大城崩」の兄弟は、仇討を果たした側にとっては敵の子であること、が挙げられます。

 

他の仇討物を見ても、敵討ちを果たした者は称賛されるのが常で、敵討ちを果たした兄弟が捕えられ、処刑の危機に瀕した後に救われるという「正儀世守」の筋立ての方が、素直な印象を受けます。しかし「大城崩」では、敵討ちを果たした大城若按司という人物は、さらに仇の息子である兄弟までをも捕えて処刑しようとする、いわば敵役・加害者に回ります。それにより、復讐劇に巻き込まれ、処刑の危機に陥った兄弟の哀れさ、理不尽さが際立ち、より現代的なテーマを持った作品に仕上がっているように感じます。

 

朝直の組踊は他の作品も、義理人情や人間心理を中心に描かれているのが特徴です。典型的な敵討物のように思われる「万歳敵討」も、能「放下僧」には登場しない、敵(高平良御鎖)の妻子が登場しますが、それは、敵にも家庭があること(敵討をすることで新たな悲劇が生まれること)を暗示しているようにさえ思えます。

 

 

朝薫以降の作品について、矢野輝雄著の「沖縄芸能史話」には「組踊りは、玉城朝薫の五組に始まり五組につきるという。伊波普猷は『若し彼の五つ組を能とすれば、是等(他の作者の組踊り)は田舎歌舞伎の如きものであろう』と極言している」と書かれており、その評価はあまり高くないようにも思われます。しかし、能が世阿弥以降、元雅、禅竹、信光らが、様々な特徴を持った作品を生み出し、そのバリエーションが広がったように、組踊も玉城朝薫以来の「忠孝」という組踊の中心的なテーマを継承しつつも、新たな作風を持った作品が生まれていったことで、より豊かな芸能になったように思うのです。

 

なかなか色々な作者の組踊を見比べる機会は少ないかもしれませんが、作者とその作風にも注目して組踊を見ると、より作品を面白く見られると思いますよ。

 

次回の「能の五番 朝薫の五番」第4回 「放下僧」と「二童敵討」は、平成30年2月4日に開催です!

 

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2017年03月26日 (日) 日々の出来事

花のつぼみがほころびはじめ、はなうたまじりの今日この頃です。

皆さまいかがお過ごしでしょうか?

わたしは花粉症です。

 

 

横浜能楽堂のお隣、掃部山公園の入り口には、色とりどりの花が植えられていました。

かわいい!

 

こちらは3月25日から始まるGarden NecklaceYOKOHAMA 2017(公益財団法人都市緑化機構)という横浜の全国都市緑化フェアのひとつとのこと。

春はカラフルな色の服を着たいと毎年思うのですが、毎年買わずに終わります。今年こそは……。

 

お花見の名所でもある掃部山公園には、200本の桜の木が植えられているそうです。

横浜市は4/5が満開予想日ということですが、少しでも長く咲いて欲しいと思いつつ、散り始めて風に舞う桜の花びらも大好きです。(遠山の金さんごっこも好きです。)

 

ちなみに3/25の出勤時ですが、掃部山公園の桜はまだほとんどつぼみでした。

週明けには暖かくなるようなので、ついに咲くかな? と、心待ちにしています。

 

横浜能楽堂では、みなとみらい21さくらフェスタ2017(facebook)の関連イベントとして、4月1日に特別見学会を開催します。

お時間は10:30と15:00からの2回。各回とも無料でご予約は不要です。

正午より、呈茶席がございます。

こちらはおひとり様300円で、お抹茶に横浜能楽堂オリジナル和菓子「鏡板」が付きます。

「鏡板」は加賀銘菓の老舗・諸江屋さんの伝統技法で作られた生落雁で、なんとなんと、この時期だけの桜のモチーフと桜色!(すてき!)

春らしいお菓子をお楽しみください。

 

もちろんショップにも、お土産としてご用意しております。

お花見のお茶請けにはもちろんのこと、お酒好きな方も、辛口の日本酒とあわせてぜひどうぞ!

皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

 

追伸:桜酒って良いですよね……。

 

 

もんろう

2017年02月04日 (土) その他

新年、おめでとうございます!

なんて言うと、お正月ボケ?と言われてしまいそうですが、

中国では、旧暦の正月を「春節」といいお祝いしますよね。

今年は1/28がその春節です。

横浜の中華街は春節のお祝いで賑わって(騒いで?)いました。

いくつかの門がありますが、通りを覗くと・・・

こんな感じ・・・

人、ひと、ヒト・・・(@_@。

少し進んで行くと、

これぞ中華街!

まだ、色白の鳥さん(あひるさん?)たちですが、これからこんがり焼き色がついて

あの、北京ダックになるんですね~)^o^(

さらに進んでゆくと・・・

中国版 獅子舞です。

店頭で、にぎやかな太鼓やシンバルの音に合わせて踊って、

最後に爆竹で締め、次のお店へと回って行きます。

踊っているときは、四つ這いというか低い状態で舞っていますが、

(あまりに人が多くて低い状態の獅子は撮れませんでした<(_ _)>

最後に、ぐ~~んと伸び(?)ます。

ゆるきゃらの、ね○~るくんみたいに(-_-;)

 

人ごみが苦手な私は少々息苦しく、頭痛がしてきたので横道に入ったのですが、

どこもかしこも人だらけ・・・肉まんと小龍包の匂いに包まれながら出口へ辿りつきました。

あまりの人の多さで入場規制をするほど

とっても賑やかな中華街の春節でした。

日本は、もうすぐ節分ですね。

少しづつ春が近づいてきているように感じる今日この頃です。

<momo>

 

 

 

 

2017年01月16日 (月) 日々の出来事

みなさま、あけましておめでとうございます。

みなさま年末年始はどのように過ごされましたでしょうか。

私は実家に帰り、昨年の夏にはまった本を読み返しました。

 

昨年、舞台、映画、展覧会などたくさんの素晴らしい芸術作品に出合いましたが、その中で最も心を動かされたものの一つ。思わず休みに再度読んでしまいました。何度でも繰り返し味わいたくなる作品です。

 

平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』という本。

去年の夏はドキドキが止まらなくて、寝不足になりながら読みふけっていました。

 

書籍『マチネの終わりに』

書籍『マチネの終わりに』

 

『マチネの終わりに』は、天才ギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリストである小峰洋子が、東京、パリ、イラク、ニューヨークと世界を舞台に展開する、美しい大人の恋の物語。

 

登場人物の心の襞、感情の動きがとても繊細に、丁寧に描かれていて、「わかる!わかる!!」と頷けることがたくさんあり、また経験したことのない感情や思いについても「なるほど」と理解しやすい比喩で表現されていました。

たとえば、主人公である蒔野の音楽に対する解釈、スランプ時の苦悩、洋子に対する感情の動き。そして、洋子の二人の男性の間で揺れる気持ち、バグダッドでの経験からのPTSD(心的外傷後ストレス障害)の苦しみ。

またそれだけでなく、蒔野のすばらしい演奏を聞いた後の観客の興奮の描写も、うまくいかなかった演奏のギタリスト仲間のコメントも「そういう感じある!」と思える形容です。

コンサートで流れる音楽が聞こえてくるような、イラクでの混乱が目に浮かぶような、また蒔野・洋子とジャリーラという洋子の部下の三人のあたたかな優しい空間が瞼に浮かんでくるような、そんな文章でした。

そこが私にとってこの小説の一番の魅力。

 

そして私をうっとりさせたのは主人公の人物像。

小さな頃から天才と言われてきたギタリストの蒔野。著名な映画監督であるユーゴスラビア人と日本人の間に生まれ、世界をまたにかけ活躍する洋子。

二人は、私にとってまさに憧れの存在で、現代版の王子様とお姫様のようでした。

そこで、勝手にキャスティングを考えてみちゃいました。。。

蒔野聡史は大森南朋さん。

小峰洋子は吉瀬美智子さん。

といった感じでしょうか。

 

一章一章、読み終わるたびに、うっとりと余韻に浸るような、その章をぐっとかみしめる時間が必要な、そんな作品でした。

ぜひ読んでみてください!

 

ぼたん

2016年12月07日 (水) 能楽関連

先日、横浜能楽堂がコーディネーターとなって(※)、横浜市立潮田小学校で「狂言」の授業を行ってきました。対象は6年生。内容は、国語の教科書(光村図書)に載っている狂言「柿山伏」を鑑賞して、先生と一緒に体を動かして狂言の表現を体験するというもの。

 

先生は、大蔵流狂言山本家の山本則重さん、山本則秀さん、若松隆さんのお三方。ちなみに、生徒さんが持っている教科書には、則重さん・則秀さんのお父様である山本則俊さんと伯父様の山本東次郎さんが「柿山伏」を演じている写真が載っています。

 

教材のビデオなどで映像も見られるとはいえ、第一線で活躍する狂言師の声や身体の動きを間近で体験する迫力は格別。鑑賞のあいだ、みなさん興味深そうにじっと見入っている姿が印象的でした。

 

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狂言「柿山伏」の鑑賞                 立ち方の練習

 

体験では、「正座をしてお辞儀をしてみましょう。」というところからスタート。
狂言の「笑う」や「泣く」といった所作を皆でまねてみたり、体育館の全面を使って狂言の足の運び方を体験したりしているうちに、二時限があっという間に終わってしまいました。

 

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足の運びをやってみよう                 質問コーナー

 

国語の教科書では「ことば」が取り上げられていますが、「狂言」じたいは演劇の要素もあれば、謡や舞といった音楽やダンスの要素もある、600年以上の歴史を持つ芸能。日本の伝統文化に根差したいろんなエッセンスがつまっています。

 

今回授業を行った潮田小学校は、約20か国につながる児童が通うというインターナショナルな環境。学校の先生方からは、「狂言の体験を通して、日本の文化だけではなく、つながる国の友達の文化も尊重し合える子どもになってほしい」という期待の言葉もいただいていました。

 

今回の体験が、教科書の理解にとどまらず、自分のこと、友達のことを知るきっかけとなって、より充実した学校生活につながっていくことを願っています。(そして、さらには古典芸能に興味を持ってもらえたら、とっても嬉しいです・・・!)

 

※今回の授業は、横浜市で行っている「芸術文化教育プラットフォーム」との連携で行われました。http://y-platform.org/

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