スタッフブログ

2018年02月11日 (日) 日々の出来事

横浜能楽堂和の楽しみシリーズワークショップ「匂い香」を開催しました。

平成30123()に横浜能楽堂和の楽しみシリーズ施設見学会付ワークショップの「匂い香」を開催しました。

前日の首都圏は大雪警報が発令されるほどの大雪で、当日朝、能楽堂に出勤してみると10cm以上も雪が積もっており、警備さんが一生懸命雪かきしていました。松の雪吊りにも雪が積もっており、雪吊りしておいて良かった!状態でした。特に午前の部は、皆さまに来ていただけるかハラハラドキドキでしたが、予定通り無事スタートしました。

 

ワークショップでは、案内役の松栄堂様が香りの材料や種類についてお話した後に、タブレット状の香りを組み合わせてオリジナルの匂い香をつくりました。皆さま真剣に、そして楽しそうに、香りの組み合わせに取り組んでいらっしゃいました。できあがった香りは縮緬の袋に入れてお持ち帰りいただきました。生活の中のさまざまなシーンでこ利用いただければ幸いです。

 

終了後のアンケートに多くのご意見を記入していただきましたので、ここで少しご紹介します。

自由意見

・ていねいな説明、材料も良い物を使うことが出来、本物の味を感じました。

・香の知識も増え、調合も楽しめました。とても良かった。香や日本文化が身近になりました。

・自分の好みの匂いが作れてとても嬉しかったです。大切にしたいと思います。

 

 

ご参加いただいた皆さまには、お足元の悪い中、お越しいただき本当にありがとうございました。また、道路事情等でご参加いただけなかった方は本当に残念でございました。皆さま、次回は公演にもお越しくださいませ。お待ちしております!

 

はぜの木

2018年02月10日 (土) 日常

能楽堂の建築についてのお話です。(屋根のお話)

常日頃、能楽堂の屋根は美しいな~と感じているため、以前にその屋根についてブログで少しご紹介しました。
http://ynt.yafjp.org/staff-blog/?p=804
その際にも書きましたが、横浜能楽堂は、平成14年(2002年)に一般社団法人公共建築協会「第8回公共建築賞」を受賞しています。建築竣工時や建築賞応募時の設計図書を見るにつけ、図面だけではわからない設計コンセプトが知りたくなりました。
そこで、先日、横浜能楽堂設計者である大江建築アトリエ大江新様にお越しいただき、建築家のお立場からいろいろな話を伺いました。横浜能楽堂建築の素敵ポイントについて、少しずつ皆さまにご紹介していきたいと思います。今回は、屋根のお話です。

 

まず屋根の勾配についてです。
寺社などの伝統建築の屋根は通常はゆったりとした勾配で、横浜能楽堂のようにこんな急勾配の屋根は珍しいそうです。急勾配は住宅の藁葺き屋根にはあります。ちなみに、藁葺きは、藁が腐りやすいので水を流し落としやすくするために急勾配になっているそうです。また、敵に簡単に攻め込まれないように、松本城、熊本城の板壁にも急勾配が見られるようです。
勾配をゆるくして軒も確保しようとするともっと広い敷地が必要となります。また、近隣及び景観への配慮から、高さを抑え、2階壁面を屋根として扱う設計としました。このような理由から、この急勾配が生まれたわけですね。頂部から軒先への勾配は、よ~く見てみると直線ではなく、かすかにふくらみのある「むくり」になっていて急勾配ながら、暖かみが感じられるような気がします。必要性から生まれた急勾配ですが、緑青色の銅の一文字葺き(いちもんじぶき)と相まって、とても雰囲気のある素敵な屋根になっているな~と思います。

 

次に玄関入口部分にあるデザイン上のポイントの破風(はふ)です。
玄関入口屋根がまっすぐになっている形状を「平入り(ひらいり)」と言いますが、横浜能楽堂は、平入りではなく、曲線状の唐破風(からはふ)で、はなやかな印象を与えています。そのデザインは、重くなりすぎないように現代的なデザインになっています。その下には破風にあわせた、こちらもまた現代的デザインの蟇股(かえるまた)が、水平材を支えています。豪華絢爛ではない、すっきりとしたやさしい印象だと思います。先日の首都圏の大雪の日には、しっかりと屋根の雪を受けており、ちょっと健気な破風でした。

 

能楽堂の屋根は美しいな~と感じる理由は、ちゃんと設計者の意図するものであったのだと思いました。
横浜能楽堂にお越しの際には、140年余の歴史ある本舞台とともに、美しい建築外観にもぜひご注目くださいませ。毎月第二木曜日には施設見学会を実施しております。公演日はもちろん、施設見学会日も、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

 

はぜの木

2018年02月06日 (火) 能楽関連

和泉式部と梅の花

寒いですね。こう寒いと、出歩くのが億劫になってしまい、休みの日は家で過ごしてしまいがちです。

先日の積雪のあと。家の雪かきをしていたら、梅に一羽のメジロがやってきました。枝に雪が積もり、どこに花があるのか、すぐには分からない状況だったのですが、メジロは上手に花を啄み、飛び去って行きました。風情があって、歌の題材にでもなりそうな光景でしたが、歌心などない私は、ただ、ほのぼのとするばかりでした。

 

 

さて、梅と言えば2月10日に企画公演「能の花 能を彩る花」第4回「梅」が開催されます。上演される曲は「東北(とうぼく)」。和泉式部の霊が自らが愛した東北院の「軒端の梅」と和歌の徳について語り舞う、梅の花のような格調高い美しさに満ちた曲です。

 

この曲、特に典拠となる作品は存在しないようで、和泉式部が「軒端の梅」を植えたという話も存在しないようです。和泉式部と梅の花というと、京都の祇園祭の山鉾の一つ、「保昌山」の題材にもなっている、藤原保昌が和泉式部に紫宸殿の梅の一枝が欲しいと頼まれ、警護の北面武士に矢を射掛けられながらも一枝を持ち帰り、結ばれたというエピソードが有名ですが、「東北」では全く触れられません。

 

 

それどころか、名歌人として知られる和泉式部の歌は一首も詞章に用いられていないようです。

 

「東北」の中に登場する歌で、印象的な歌と言えば、序之舞の後に謡われる

 

春の夜の闇はあやなし梅の花 色こそ見えね香やは隠るる

 

ではないでしょうか。虎屋の羊羹「夜の梅」もこの歌から名がついており、ご存知の方の多いと思いますが、古今集に収められている凡河内躬恒の歌です。夜の東北院に香る梅の花という情景を豊かに想像させる歌だと思うのですが、ここで和泉式部の歌を引用するという選択肢はなかったのでしょうか。

 

 

調べてみると和泉式部が梅を詠んだ歌はいくつかあるようです。「春の夜の~」の歌に似ているものだと、

 

梅が香におどろかれつつ春の夜の 闇こそ人はあくがらしけれ

 

この歌も梅の香りが漂ってくるようで、素敵な歌に思えますが、「おどろかれつつ」や「あくがらしけれ」は、なかなかインパクトのある言葉で、春の夜の静かな雰囲気とは趣を異にする感じがします。また別の歌に、

 

梅の香を君によそへてみるからに 花のをり知る身ともなるかな

 

というのもありますが、この歌は相手となる存在が感じられ、やはり「東北」には合わない気がします。ここはやはり客観的に夜の梅の香を詠んだ「春の夜の~」の歌が一番しっくりくるようです。

 

考えてみると「東北」は、和泉式部がシテでありながら、和泉式部らしさを極力描かないようにしているようにも感じます。曲名からして「東北」。能に詳しくない人が聞いたら東北地方の話かと思うかもしれません。(ちなみに古くは「軒端梅」という曲名だったそうです)

 

調べれば調べるほど、作者は何を描こうとしたのか、なぜ和泉式部をシテに選んだのか、奥深さを感じます。2月10日は、どんな「東北」を見せてくれるのでしょう。人間国宝の大槻文藏さんの舞、池坊専好さんのいけばな、と見どころ沢山の公演です。お楽しみに!

 

 

 

♦公演情報♦

 

 

横浜能楽堂企画公演「能の花 能を彩る花」第4回「梅」

2018年2月10日(土)14:00開演(13:00開場)

能「東北」(観世流)大槻文藏

チケット僅少です。

 

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2018年01月28日 (日) 日々の出来事

出勤の楽しみ

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
今年は年始から各地で大雪、厳しい寒さが続いていますね。
横浜能楽堂がある紅葉坂エリアも例外でなく、まだ道端に雪も残っていて寒々しく、外に出るのがおっくうになってしまいます。

 

そんな冬の寒い日でも、私には出勤の際にひそかな楽しみがあります。それは・・・

 

 

そう、富士山です。これは1月4日の初出勤の日の朝の様子。
事務所の入り口手前、楽屋玄関の前あたりから見た風景です。

 

ちなみに、先週のある晴れた日は・・・

 

 

大雪のあと、白い部分が広くなりました。
とくにきれいに見える冬場、晴れた日は、この景色が楽しみで紅葉坂を上る足取りも軽くなります。

 

ちなみにこれは、数年前に富士山の近くまで遊びに行った時の一コマ。

 

 

富士山ラベルの地酒とフジサン特急。
どこかに遠出したとき、その土地の地酒ワンカップを片手に、ローカル電車に乗るというのも、楽しみのひとつだったりします(その姿が人目にどう映るのかはさておき・・・)。
風景はもちろん、食やお酒などの文化も、地域によってさまざま。その土地の水や素材を使って作られたものを、その土地の空気の中でいただく、というのがいちばん贅沢でおいしいなあと思ったりします。

 

そこでしかできない体験という点では、芸能(ライブ)も同じ。演者の顔ぶれ、その日のコンディション、会場のお客さん一人ひとり・・・ ある特定の時間、そこに集まった人たちが共有して作り上げる空間には独特の祝祭感があって、ときには神聖にすら感じられることも。その日、その瞬間にしかない特別な場。芸能のルーツをたどると、洋の東西を問わず神事と結びつくものが多いというのもうなずけます。

 

とくに古典芸能は、長い年月をかけて磨かれてきた技と美学が詰まっていて、その味わいは地酒のように多様な魅力があって奥深い、かも・・・(というか単にお酒が好きなだけ?)。
いろんな方に、ぜひ横浜能楽堂に足を運んで自分なりの楽しみを見つけていただけたらうれしいです。晴れの日にはぜひ富士山も。正面玄関の前を通り過ぎてまっすぐ行った突き当り付近が、ビュースポットです。

 

*今後の公演情報はこちら
2/4 「能の五番 朝薫の五番」 ・・・能と沖縄の組踊りを一度にお楽しみいただけます
2/10 「能の花 能を彩る花」 ・・・いけばなと能のコラボレーションが観られる貴重な機会
2/11 「横浜狂言堂」 ・・・出演者による解説付き、毎月開催の人気企画

 

最後に、夕暮れの富士山の写真を。

 

 

本年がみなさまにとって幸多きものになりますように。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(と)

2017年12月15日 (金) 日々の出来事

紅葉狩に出かけました

先日の公演「能の花 能を彩る花」能「紅葉狩」では、能舞台上で紅葉が生けこまれて、
まるで深山が現れたようでした。

私も紅葉狩りをしてみたくなり、広尾にある有栖川宮公園に出かけてみました。

昔むかし、学生の頃この公園の中にある中央図書館によく行ったもの。
がっつりレポートに励むはずが食堂でカレー食を食べてコーヒーを飲んで、
なぜかまったりで一日が終わってしまったほろ苦い思い出が蘇る晩秋の小道。

池のほとりの木々は見とれるほどに見事に紅葉しています。

大きな公園は日本庭園を模しているため、たいてい立派なお池がありますね。
横浜能楽堂のおとなりの掃部山公園にも池があるのをご存じですか?
桜の季節は池に花びらが浮かび美しい眺めになります。

公園をぐるりとのぼりきったあたりには、立派な銅像があります。

馬にまたがった勇ましいこの方は、有栖川宮熾仁(ありすがわのみや たるひと)親王(1835-1895)。
この公園の主のよう!
日清戦争などに武功があった方と、横の看板にありました。

ちなみにこの熾仁親王の異母弟である有栖川宮威仁親王(ありすがわのみや たけひと)の夫人・前田慰子(まえだやすこ)は、横浜能楽堂のもともとの所有者である前田斉泰の孫なのです。
第14代加賀藩主・前田慶寧の四女にあたります。
思わぬところで、横浜能楽堂とつながりが発見できてうれしくなりました。

広尾は周辺に各国大使館が点在するインターナショナルな街でもあります。
帰り道にナショナル麻布スーパーマーケットに不時着サンタさんを発見、あらら・・・。

みなさま、素敵なクリスマスを!

rdzv2017

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