スタッフブログ

2018年06月26日 (火) 日常

能楽堂の建築についてのお話です。(柱のお話)

横浜能楽堂建築の素敵ポイントについて、少しずつ皆さまにご紹介していきたいと思い、前回は楽屋をご紹介しました。

今回は舞台の柱のお話です。

 

能舞台は、昔は大名のお屋敷の庭や神社の境内など屋外にあったため、舞台の上に屋根がありました。能舞台と見所が建物の内部に納まる形式の能楽堂になった現代も、屋根は昔の様式を継承して舞台の上にあり続けています。

そのため、屋根を支える柱もあり続けています。

 

ところで、屋外から屋内になった後も屋根が残っている建築は相撲の土俵と能舞台だけ、とても珍しいそうです。

その相撲の土俵には柱が無いのは何故だろう?と疑問がわいたので調べてみました。

日本相撲協会のホームページにある協会のあゆみによりますと、昭和29(1952)9月に「四本柱の撤廃 代わりに吊屋根、四色の房を下げる」とあります。翌年5月からNHKがテレビ中継を始めています。

相撲の土俵は、テレビ中継が始まることで観客の視界を妨げる柱が無くなり吊り屋根になったのですね。

一方、能舞台の4本の柱は現在もあり続けています。

どの柱もとても重要な役割があり、「シテ柱」「ワキ柱」「笛柱」「目付柱」と名前がついています。

能舞台を上から見た図

 

中でも「目付柱」は特に重要な柱です。

http://ynt.yafjp.org/about/seat/

近年、多目的に利用するために柱を取り外し方式にしている能舞台がありますが、将来、相撲の土俵のように、「え~能舞台に柱があったの~?」なんて時代がくるのでしょうか?

 

どの能舞台にもある4本の柱ですが、横浜能楽堂本舞台の柱は少し細目であることをご存知でしょうか。

通常の能舞台は総桧づくりですが、横浜能楽堂の本舞台は総桧ではなく舞台床以外の鏡板・柱など主要なものは樅(もみ)の木です。全体の骨組みが細く設計されていて、柱も細くなっているのが特長です。

細い理由については、樅は桧に比べて堅いため、とか、白い梅が描かれている鏡板にあわせてやさしい印象にするため、とか節はいろいろです。

「目付柱」の太さを実際に測ってみましたところ、約5寸でした。他の能楽堂の柱は測ったことはありませんが6寸程度ではないでしょうか。

 

中正面席からは観客の視界の妨げになる「目付柱」ですが、横浜能楽堂の「目付柱」は少し細いため視界の妨げをちょっとだけ緩和していませんか?

たかが1寸、されど1寸ですね・・・。

 

 

横浜能楽堂にお越しの際には、ちょっと細目の舞台の柱にもご注目くださいませ。

皆さまのお越しをお待ちしております。

  

はぜの木

 

2018年05月25日 (金) 日常

能楽堂の建築についてのお話です。(楽屋のお話)

横浜能楽堂建築の素敵ポイントについて、少しずつ皆さまにご紹介していきたいと思い、前回は屋根をご紹介しました。

http://ynt.yafjp.org/staff-blog/?p=903

ちょっと間があきましたが今回は楽屋のお話です。

 

先日、建築士の団体様がガイド付施設見学にいらっしゃいました。その際に、横浜能楽堂の設計者が大江建築アトリエ大江新様であることを説明しましたところ、「大江建築の特徴がよく出ているな~」とおっしゃっていました。逆に私が、「どんなところがですか~」とお伺いしてしまいました。その特徴がまさに素敵ポイントだなと思いましたのでご紹介します。

 

まず、最初の素敵ポイントは楽屋玄関です。

楽屋玄関とは、公演時に能楽師さんが出入りしたり、楽屋や研修室でのお稽古会の際に先生とお弟子さんが出入りする玄関です。玄関内部は、木の柱・梁と石の壁で構成されています。前述の建築士さん曰く、大江建築の特徴が出ているのが、柱と梁による大胆な構成だそうです。柱・梁は塗り壁から独立したように目に飛び込んできます。

 

玄関外部は、内部同様に木と石の構成となっています。やはり木の柱と梁が主張しています。

私は、この楽屋玄関の織物が貼られている格天井が大好きです。織物の文様は「萌黄地蓮華文錦()」で、格子を境に互い違いに向きを変えて貼られているため、光の具合で文様の色が異なって見えます。いつも見上げてはうっとり~してます!大江新先生によりますと、紙ではなく織物を貼ってあるのは、空間に華やかさと優しさを演出するためだそうです。ただし、楽屋玄関で天井を見上げる方は少ないに違いない・・・、と思い少し残念です。

 

次の素敵ポイントは、楽屋です。

楽屋は12畳の畳敷きの和室が4室つながっており、間は戸襖で仕切られ、戸襖の上は格子の欄間になっています。大江建築の特徴が出ているのが、この欄間だそうです。とてもシンプルで装飾性を排除した格子により、凜としてモダンな和室になっていると思います。

戸襖の縁取りは太めになっています。大江新先生によりますと、住宅や茶室のようなプライベート性の高い部屋では繊細さが重視されることが多いため各部の寸法は概して狭く細く作られますが、楽屋はもう少し公的な性格が強いだろう、ということから戸襖の縁取りが太めになっているとのことでした。

この縁取りの木は無垢材のため戸襖がとても重く、また無垢材の敷居とぴったりの寸法でできあがっています。取り外すと入れる時、向きや順番が違うと入らなくなるため、戸襖の紙の張替えの際に職人さんたちが苦労していたことを思い出しました。

 

普段は入ることのできない楽屋スペースは月に1回の無料施設見学日にご覧いただくことができます。

140年余の歴史ある舞台だけでなく楽屋もガイド付でご案内します。次回は614(10:0011:00)

また、ご希望の日程で有料施設見学も承っております。25名様までガイド1名 14,000円。

多くの皆さまのご参加をお待ちしております。

 

はぜの木

 

2018年04月23日 (月) 日常

4月に伝えたいときめき

あっという間に桜は散り、お花見でにぎやかだった掃部山公園も、静かな夜を迎えるようになりました。
かく言うわたしも、口をぽかんと開けて桜を見上げていたうちのひとりです。
誰かのSNSにとぼけた顔でうっかり写りこんでいないかどうか、心配です。
 
横浜能楽堂のTwitterでは、【掃部山公園の桜日記】が更新されておりました。定点観測をした桜のつぼみが、見事に花開くまでの写真が載っています。
今年度の桜日記は終了いたしましたが、よろしければぜひご覧ください。(過ぎ行く春の思い出に……。)
 

《掃部山公園にて、和風庭園の池の花筏》
 

《わたしもお花見しましたというアピール》
 
 
お花見といえば桜ですが、実はチューリップ畑でお花見がしたいと思っています。
きっと夜風に吹かれながらしっとり語ることもなく、青空の下で、ぱーんと底抜けに明るいお花見になりそう。お酒は似合わなそうですね。
 
そんなチューリップを見ながら思い出したのは、小さな頃に好きだった、地上に根付く小さな小さな植物のこと。
地面にしゃがみこんでじっと見つめる、という行動を、人の目を気にしていつの間にかできなくなっていて、つまらない大人になってしまった! かなしい!
と思いましたので、久しぶりに地面にしゃがみこんでみました。
 

《人の目を気にしてさっと撮ったシリーズ①カラスノエンドウ(だと思っているもの)》
 

《人の目を気にしてさっと撮ったシリーズ②ヒメオドリコソウ(だと思っているもの)》
 
かわいい!
 
そんな訳で、4月が好きです。
 
 
 
もんろう

2018年03月25日 (日) 未分類

横浜能楽堂ワークショップ「和の楽しみ」一閑張りを開催しました。

平成30年3月16日(金)に横浜能楽堂ワークショップ「和の楽しみ」一閑張りを開催しました。ご参加いただいた皆さまには、本当にありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

案内役は、「一閑張りつくることby利」を主催している鏡原利子さんにお願いしました。鏡原さんは、ご自身のアトリエで講師として活動されていらっしゃいます。その作品づくりにあたっては、古き良きものや自然な風合いを大事にすること、素材ひとつひとつと向き合い、できる限り天然で本物の素材を使うことにこだわっているそうです。今回は初心者でも短時間で取り組むことのできる平ざるの一閑張りを体験しました。

まずは、赤色系と緑色系の無地と桜模様の和紙の2種類の材料組み合わせから1つを選んで、和紙をくしゃっと丸めて切り分ける作業から開始。下張りでは、糊の付け具合や和紙の貼り方がまだよくわからず、予想以上に時間のかかる方もいらっしゃいました。本張りでは少し慣れたせいか下張りよりは手際よくなった方が多かったようです。そして思い思いに桜の柄を指で切り取り、配置を決める飾り張りへ。ワークショップはここで終了しました。同じ材料組み合わせで開始しましたが、個性が光っていて十人十色、誰一人として同じ作品はありませんでした。

 

この後は、ゆっくり乾燥をした方がきれいに仕上がるため、最後の柿渋塗りは柿渋と刷毛をお持ち帰りいただき、ご自宅での作業となりました。皆さま、その後の乾燥と柿渋塗りはうまくいきましたでしょうか?また、柿渋は時間とともに色が変化するとのこと、半年後・一年後が楽しみですね。

 

終了後のアンケートに多くのご意見を記入していただきましたので、ここで少しご紹介します。

自由意見
・先生の説明も良く、シンプルな製作物なのに満足できるものでした。
・家にあるざるお豆腐のざるでつくれると聞いたので、またつくってみたくなりました。
・自己流で一閑張りをしていたので、色々発見があり、楽しく勉強になりました。
・これからもいろいろ役に立ちそうなので、良い講座だと思います。

 

今年度の「和の楽しみ」ワークショップ 匂い香、和綴じ本、一閑張り、はこれにてひとまず終了。来年度も新たなワークショップを開催してまいりますので、どうぞご期待くださいませ!

 

はぜの木

2018年03月14日 (水) 未分類

横浜能楽堂ワークショップ「和の楽しみ」和綴じ本を開催しました。

平成30年2月26日(月)に横浜能楽堂ワークショップ「和の楽しみ」和綴じ本を開催しました。

和綴じの歴史は古く、中国で発祥した製本技術が平安時代に日本に伝わり独自の発展を遂げたそうです。日清戦争前後(明治27年)に近代活版印刷本が普及するまで、日本で出版される書籍の多くがこの和綴じ本でした。現在では少なくなりましたが、謡本を始めお寺の経本や長唄の本でも使われています。和綴じの種類としては、三つ目綴じ、四つ目綴じ、麻の葉綴じ、亀甲綴じなどがあります。

 

ワークショップでは、案内人の水谷和本堂職人・水谷恭子さん、葵さんの説明を聞きながら、赤と青の2冊の自由帳の四つ目綴じに取り組みました。

最初の糸通しから苦戦される方、途中で糸が絡まる方、最後の糸の始末で迷われる方などで、あちらの机からこちらの机へと、水谷さんが終始ひっぱりだこでした。参加者おひとりおひとりが夢中に取り組まれて、最後には全員が2冊の自由帳を完成されました。できあがった自由帳はお持ち帰りいただきました。どんな用途でお使いいただくのでしょうか、とても興味深いです。

終了後のアンケートに多くのご意見を記入していただきましたので、ここで少しご紹介します。

自由意見
・和綴じは自己流でやっていたが、正式な方法が会得できてうれしい。(70代)
・全く知らない事でしたのでワクワクしながら進めてゆきとても上手に出来てうれしかった。(60代)
・貴重な体験でした。アナログの大切さというか技術に感動しました。(50代)
・普段お会いできない職人の方の手ほどきを受けられて、大変楽しかったです。(30代)

 

ご参加いただいた皆さまには、お寒い中、お越しいただき本当にありがとうございました。皆さま、次回は公演にもお越しくださいませ。お待ちしております!

 

はぜの木

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