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2017年01月16日 (月) 日々の出来事

マチネの終わりに

みなさま、あけましておめでとうございます。

みなさま年末年始はどのように過ごされましたでしょうか。

私は実家に帰り、昨年の夏にはまった本を読み返しました。

 

昨年、舞台、映画、展覧会などたくさんの素晴らしい芸術作品に出合いましたが、その中で最も心を動かされたものの一つ。思わず休みに再度読んでしまいました。何度でも繰り返し味わいたくなる作品です。

 

平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』という本。

去年の夏はドキドキが止まらなくて、寝不足になりながら読みふけっていました。

 

書籍『マチネの終わりに』

書籍『マチネの終わりに』

 

『マチネの終わりに』は、天才ギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリストである小峰洋子が、東京、パリ、イラク、ニューヨークと世界を舞台に展開する、美しい大人の恋の物語。

 

登場人物の心の襞、感情の動きがとても繊細に、丁寧に描かれていて、「わかる!わかる!!」と頷けることがたくさんあり、また経験したことのない感情や思いについても「なるほど」と理解しやすい比喩で表現されていました。

たとえば、主人公である蒔野の音楽に対する解釈、スランプ時の苦悩、洋子に対する感情の動き。そして、洋子の二人の男性の間で揺れる気持ち、バグダッドでの経験からのPTSD(心的外傷後ストレス障害)の苦しみ。

またそれだけでなく、蒔野のすばらしい演奏を聞いた後の観客の興奮の描写も、うまくいかなかった演奏のギタリスト仲間のコメントも「そういう感じある!」と思える形容です。

コンサートで流れる音楽が聞こえてくるような、イラクでの混乱が目に浮かぶような、また蒔野・洋子とジャリーラという洋子の部下の三人のあたたかな優しい空間が瞼に浮かんでくるような、そんな文章でした。

そこが私にとってこの小説の一番の魅力。

 

そして私をうっとりさせたのは主人公の人物像。

小さな頃から天才と言われてきたギタリストの蒔野。著名な映画監督であるユーゴスラビア人と日本人の間に生まれ、世界をまたにかけ活躍する洋子。

二人は、私にとってまさに憧れの存在で、現代版の王子様とお姫様のようでした。

そこで、勝手にキャスティングを考えてみちゃいました。。。

蒔野聡史は大森南朋さん。

小峰洋子は吉瀬美智子さん。

といった感じでしょうか。

 

一章一章、読み終わるたびに、うっとりと余韻に浸るような、その章をぐっとかみしめる時間が必要な、そんな作品でした。

ぜひ読んでみてください!

 

ぼたん

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