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2019年03月08日 (金) 内容

「能楽師(狂言方)が案内する横浜能楽堂見学と狂言ワークショップ」を開催しました。

平成31年2月23日(土)に「能楽師(狂言方)が案内する横浜能楽堂見学と狂言ワークショップ」を開催しました。案内役は狂言方大蔵流の山本則重師と弟さんの則秀師です。14:00の回23名、16:30の回29名、計52名の皆さまにご参加いただきました。本当にありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まずは第二舞台でご則重師のお話があり、体験は丁寧なご挨拶からスタート。

 

体験の最初は足の運びをやりました。狂言は歩行の芸術とも言われるほどで、こだわって、ていねいに、一歩をすすめることが大切だそうです。

 

続いて『しびり』という曲の「名乗り」の部分を則秀師のあとについて復唱。しっかりとお腹から声を出すことが大切、近くにいてうるさくなく、遠くでもよく聞こえるように、だそうです。また狂言の「名乗り」が地名や名前を特定しない抽象的な内容であるのは、特定しないで個性を消すことで、観客が出演者を通して、人間の普遍性を感じたり自分自身のことと捉えたりできるためだという説明がありました。「このあたりの者でござる」にはそんな深い理由があったんですね!

そして、「笑う」と「泣く」も体験してみました。どちらも皆さま元気いっぱいに声を出していました。「泣く」もとっても楽しそうでしたよ! 狂言の「笑う」と「泣く」は、なんだかその場の空気をとっても和やかで楽しいものにすると思いました。家庭や職場でのコミュニケーションに取り入れてはどうかと・・・。則重師は「笑う」ことに悪いことは何もないとおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだなぁ~と思いました。

 

体験の後には、本舞台へ移動してお二人による狂言『しびり』を鑑賞。参加者のためだけのとても贅沢な鑑賞タイムでした。

 

そして楽屋裏へ移動して、能楽師(狂言方)の視点ならではの説明がありました。

シテ方、ワキ方、狂言方、囃子方の4つの楽屋は公演時には間仕切りの戸襖を開け放してあります。楽屋では演者さんは常に正座で皆さんの目が行き届いており、とても緊張感があるそうです。「舞台だけでなく舞台裏にも厳しい目があり、人の家の人の目がその人を育てる、いかに自分を律するか」という則重師のお言葉が印象的でした。

 

そして鏡の間から揚幕をくぐって、皆さまで橋がかりから本舞台へ歩をすすめました。

 

最期は第二舞台に戻り質問タイム、そして終了。

アンケートにはたくさん方にご協力いただきありがとうございました。ここに感想を少しご紹介します。

 

・身体を動かす。声を出す。見学。お話などに加え、狂言も一番拝見できるという盛りだくさんの内容で大変充実していました。もう少し時間が長くてもよい内容だったと思います。(60代男性)

・お話が分かりやすく興味深かった。初めて知ることがたくさんありました。足の運びがよく分かりました。(50代女性)

・舞台で動きや発声を体験させていただけたので、狂言も楽しく拝見いたしました。(50代女性)

・演者の視点からのお話に説得力があった。(40代男性)

・ほぼ知らない世界だったため、丁寧な解説、体験でより興味がわきました。(20代女性)

 

今回のワークショップでは、私自身も知らない内容を多く学ばせていただきました。芸能としての狂言としてだけではなく、日本人として知っておくべきいろいろなコトがぎっしり詰まった内容だったと思います。

 

今年度は「案内するシリーズ」企画としまして、「館長が案内する」、「シテ方が案内する」、「狂言方が案内する」、全3回を開催しました。アンケートでいただきましたご意見を参考に来年度の企画を検討していきますのでご期待ください。

 

はぜの木

 

 

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